国際平和研究学会が、その目的を「平和の諸条件、および戦争およびその他の暴力の諸原因に関する学際的研究を促進すること」においているように、「平和」は単に「戦争」の対概念ではない。ヨハン・ガルトゥングは、「構造的暴力」という概念によって、社会に埋め込まれた様々な「暴力」を認識する枠組みを示した。旧ソ連・東欧社会の崩壊によって東西問題は解消したかに見えるが、南北問題は、そうした「構造的暴力」の典型としてなお国際社会の前に立ちはだかっている。
 そこで本講義では、南北問題に焦点を当て、「南」の貧困解決のために採られてきた様々な開発戦略を解説する。非政府組織(NGO)が、ポスト冷戦の時代に、従来の政府や企業を補完するもう一つの社会経済開発の担い手として躍進する中で、開発論の焦点が、経済開発から人間開発へとシフトしてゆく経緯を辿る。人間開発論およびこれを支えるアマルティア・センの経済学は、開発論の一つのフロンティアを画するものであるが、これをエコロジーの観点から批判的に検討することによって、平和のための社会科学には何が必要かを検討する。

2018年度 法学部夏季集中講義 「法社会学」のコースです。

講義レジュメ、資料等を掲載します。

※講義担当者:小佐井 良太(愛媛大学)